「シンフォニック%✖️ピアニスティック% in 東京・上野」
~ 幻想という音楽の祈り ~
昨春に始まりましたコンサート・シリーズ「ピアニストの嗜好」!今春、シリーズ第2弾と題しましてピアノで奏でる「シンフォニック%✖️ピアニスティック%」(交響曲的パーセント掛けるピアノ的パーセント)をテーマに、作曲家が、それぞれの作品に繊細さや大胆さをもって、どのように音に魂を込め、どのくらいの宇宙規模で音楽を創造・表現しているのかを探りたいと思います。
元来、楽器というものは、音の発音の仕方で分類されます。ピアノは、内臓される”ハンマーが弦を打つことで音が鳴る”という発音機構から「打楽器」に分類されています。打楽器は、基本的に音を出した瞬間が最大音となり、その後、響きは減衰するのみと解釈されますが、「楽器の王様」と喩えられるピアノは、様々な音楽技法を駆使しオーケストラの奏でる交響曲を連想させるようなダイナミックスも表現できます。現代のピアノで表現される豊かな音は、「心の琴線に触れる」はかない想い、そっとささやく声色、とろけるようなメロディーの美しさをもち、極めて繊細な音を追求する「ピアニスティックな」趣と、巨大で強靭な音楽を鳴り響かせる「シンフォニックな」響きの表現。このピアノという楽器ならではの特徴を踏まえつつ、人の感じ方次第で変化するであろう相当無意味な%=パーセンテージ(!?)という比率を用いることで、これらの音楽が創造された世界へと時空を飛び越え、感覚を研ぎ澄ませながら音楽を共有していただける機会となれましたら本望です。
さて「ピアニストの嗜好」シリーズ第2弾では、上記の「シンフォニック%✖️ピアニスティック%」とは別にもうひとつのミッション(使命)がございます。
それは「現実と幻想」。と言いますのも、今も常にどこかの世界で起こっている戦争や天災の絶えない混沌とした地球上。
かつて私はロシアに留学しておりましたので、現在進行中のウクライナとロシアの戦争が、どうにか出来ないのかと歯痒く、一日も早く解決の糸口が見つかってくれないかと祈るばかりです。
そこで前々より温めていたジャンル「幻想曲」に光を当ててみようと思いました。今回ここで取り上げるのは、クラシック音楽の巨匠たちバッハ、モーツァルト、ショパン、シューマン、ラフマニノフの作品。(その他にも、リスト、ブラームス、スクリャービン etc.. まだまだご紹介したい素敵なピアノの幻想曲がございますが。)この「幻想(ファンタジー)」は、自由で即興的な曲想をもとにつくられ、脈々と作曲家たちによって音で語られる、音での「祈り」が聞こえてきます。もともと音楽には、心を投影させることができる「心の鏡」の役割があります。作曲家が「祈り」を言葉ではなく「幻想」というジャンルに想いを込めて、人々に平和と安らぎをもたらしてくれているように感じるのです。
演奏家・表現者として、音楽遺産「幻想曲」からの音楽メッセージを皆様へお届けしたく、クラシック音楽の巨匠たちが遺した「幻想曲(ファンタジー)」をシンフォニック(交響曲的)、ピアニスティック(ピアノ的)の両面から突き詰め、新たな響きの発見をしていただけましたら嬉しく思います。
そして皆さまと音楽を通じた同じ時空を現代に感じられましたら幸いです。
会場にて音楽と一緒に、皆さまをお待ちいたしております。
Sachiko Kawamura 川村祥子
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